ブログトップ

重い水

heavywater.exblog.jp

初夏の乙女

清楚な笑顔は、一度は心を温める
心地よい声は、一度は柔らかに頭上を舞う
名残を惜しむ手に、一度は心を揺すられる

その笑顔は、あくまで清楚に
その声は、強迫的にささやき
その手は、爪と血の痕を残し


窓の向こうには昂然と顔を上げる旧友が見える
「私を覚えているか?」
「今からそこへゆく」

透明な視線は、清楚な笑顔を遠ざけ
高らかな声は、ささやきを絶ち
暖かな手は、爪と血の痕を流す


[PR]
# by heavywater | 2017-03-01 21:33 | 日常

人になる過程

新生児の目は美しく、
神の身内であると思わせる。
やがて神の身内のごとき目は
人間の目へと成長していく。

生まれた瞬間はすべてが高潔であり、
以降は堕するのみである。
際限なく堕ちるのみである。
しかし高潔であったという記憶は
無意識の領域に残り、
長じてからも煌めくかけらとなって
ときおり思い出される。
故に、人は涙を流すのである。

[PR]
# by heavywater | 2015-07-30 21:20 | 思考

希望的観測

一人ひとり消えていくだろう。
あれだけ聞こえていた声もなくなる。
轟音のような声、
ふいに怒鳴られることもない。

全部消えていったら、
自分一人が残るだろう。
しかし、
自分の中身は、
全て砂になって流れていくだろう。
透明で美しいぬけがらが残るだろう。

[PR]
# by heavywater | 2015-07-10 22:36 | 感覚

半月

半月が
半月がずっと私を見ています。
地球上どこにいても
顔をこちらに向けて
半月が
私を見降ろし
笑顔で無言でたった一人で
一人きりで
こちらを見て
私は隠れることができない。

[PR]
# by heavywater | 2015-06-12 21:21 | 感覚

冷たい腹

厚く重い空気は、
冷たい腹を温めることができない。
冷たい水は食道のありかを教えてくれる。
銀色の軌跡を描いて胃に落ちる水。
皮膚が火照り髪が蒸気で濡れても、
腹は冷たい。
足の指は静かに主張する、
そこに在ることを。
赤い熱を放つことで主張する。
そして第5指は膨満する痛みを知らせる。

誰もが忘れてほしい。
いなかったことになれば、
どれだけ気が楽になることであろうか。

[PR]
# by heavywater | 2015-05-29 21:46 | 感情